2024年11月18日 住職ご挨拶
10月13日の宗祖日蓮大聖人の御会式が終わると早くも11月に入りました。
当山は、11月3日にお会式を行いました。
過日、年回忌法要で気が付いて下さった檀家さんから、「日蓮大聖人の頭にお布団が載せてあるのは、なぜですか?」と聞かれました。日蓮大聖人が小松原で襲われた「小松原法難」のお話をして、私たちは、日蓮大聖人があたかも生きているように接しています。小松原で額に刀傷を負われた日蓮大聖人は寒くなると傷が痛むので、頭巾をかぶられたそうです。それにちなんで、今でも寒い季節は傷が痛まないように、頭巾をかぶせるのです。今でも生きておられるとして接しているのです。」と答えました。
「あれは頭巾なのですか?」
「生きておられるように…❢」
現在の日蓮大聖人にかぶせている「頭巾」はその檀家さんが表現したように「布団」のようにも見えますが、日蓮大聖人への恋慕が形になっていると受け止めて下さればよいのかと思います。
お釈迦様がすべての人を、自分と同じように「悟りに導く」教えとして、最後の総仕上げともいうべく、妙法華経を説かれました。
日蓮大聖人は、そのお釈迦さまの教えを私たちに伝え・残してくださいました。
現存する480ものご遺文(ご妙判)にあるように、私たちは、お釈迦さまの法華経を日蓮大聖人の眼鏡を通して、はっきりと見ることが出来ると受け止めて頂ければ良いと言えます。
それほど日蓮大聖人は、私たちにとって、有難く、大切な存在なのです。
さて、新型コロナ禍も6年になろうとしています。「5類に移行」されたから、もう大丈夫というものではありません。「5類移行以前」は新型コロナで亡くなられた檀家さんは一人でした。「5類移行」以後は二人おられます。若い人は重症になりにくいとばかりに、軽視する向きがあるようですが、高齢者や持病のある方は、いまだに感染者が無くならない現状を重視しなければなりません。
このような新型コロナ禍、葬儀に対する姿勢に、はっきりと、「成仏を願う心」を見ることが出来ます。新型コロナ禍だから葬儀に参列してくださる方がいないという状況はどなたも一緒です。
通夜をしない「一日葬」が多くなったことも事実です。が、その反面で、檀家の娘さんが父親を亡くされ、結婚後で出産直後、ご主人に生まれたての子の面倒を見てもらいながら、通夜葬儀を行いました。この通夜葬儀は、導師である私とその娘さんの二人でした。参列者がいるとかいないとか、は関係ないのです。ご本人が、父親の「成仏を祈る」ことが葬儀の本来の意味なのです。
後日、ご納骨法要には、ご主人と生まれたてのお子さんもご一緒に、とても、清々しいお顔を見せて下さいました。
【葬儀とは?】
今一度、皆さんにも考えて頂きたく、「全葬連」が小雑誌として出した
〖 ―お葬式の大切さを考えるー ありがとうを言わせて〗を記します。
「お疲れ様」だけでなく「ありがとう」を大いに伝えたいものです。
愛しい人が先に逝くと、それまでのお付き合いや御恩に「ありがとう」と、感謝を故人にお伝えし、新しい世界へ、旅立ちの見送りとしてお葬式を行います。
愛しい人ほどに、丁寧に見送りをしたくなります。そうしてその葬儀はご遺族をも安心させて救っていけるものにつながります。
人には誕生から他界するまで、それぞれの人生があります。人生のなか、やり直しをすることができない。たった一度の送別の儀式がお葬式です。
ご遺族が納得のいくお葬式で故人をお見送りできると、その後、ご遺族は次第、次第に癒されていきます。
これは、お葬式の規模や金額の高い・安いによるものではなく、心を込めて丁寧に故人をお見送りすることによるものです。
お葬式はあくまで故人、ご遺族主体の儀式です。
お葬式の形は、故人やご遺族の意思を尊重するものです。ご遺族の判断でお葬式を簡単に済ませてしまう場合でも同様です。
ただ、お葬式は二度と行うことができないため、賢明に選択されることが望ましい。様々な想い出や気持ちを分かりやすく言動で伝えていくことが、葬儀社の責務です。
お葬式については、必要になる前に、ご家族や、葬儀社との間で納得いくまで話し合うことが大切です。
《幸せに旅立つためにするべきこと》
この世を旅立つ時、あなたはどういう旅立ちをしたいですか。
葬儀は集まる家族と友人にとって最後の機会です。葬儀を通して、彼らに最後の感謝、イメージ、メッセージ、気持ちを伝えるチャンスです。どのような印象を皆に残したいか、事前に考えた方がいいかもしれません。
親しい人を見送る時、どういう見送りをしたいですか。
葉書一つで「彼が他界した」と虚しく知らされるよりは、故人を大事に想っていた人たちを呼び寄せ、昔話を語り合ってもらう葬儀の方が。家族や友人のために良い思い出になります。
身内を失った遺族を、どのように見守り、支援したいですか。
遺族は急に生活が変わり、家も心も空っぽになり、寂しくなるのは当然ですが、葬儀等で友人が優しい一言をかけ、優しく手を差し伸べると、「独りではない」と深く感じられ、後々まで有り難く想い出されます。
「社会のため」
死別の打撃を受ける社会を悲嘆の立ち往生からどう守りますか。
お葬式には「癒しの効果」があると、報告されています。
欧米の研究によると、納得いく葬儀を行う遺族が、そうでない遺族と比べて、死別後の前向きな姿勢が強く、健康状態がよく、悲嘆からの回復が早いと言われています。
社会を死別の打撃から守るためにも、お葬式が大事な役割を果たせます。
今月も「笑顔で合掌」と元気にお過ごしください。
合 掌